第7回 人間福祉学会2006 開催報告
2006年度のテーマ
人間福祉の探求-子どもの権利とアジアの子ども達-
12月2~3日、本学各務原キャンパスと名鉄犬山ホテルを会場にして、「人間福祉学会 2006 in 各務原」が開催されました。
人間福祉学会では、学会発足以来、社会福祉(Social Welfare)を中核にしながら、その枠を超えて、人間の福祉(Human Well-Being)を多角化・総合的・学際的アプローチの視点を持って追究してきました。
現代日本社会は、少子高齢化の急速な進行のもと、少子化対策・次世代育成養成支援が緊急な課題となっています。それに加えて、子どもの人権をめぐる社会問題、子どもへの虐待や殺人等の犯罪が多発し、また、学校における子どもの暴力が増加とともに低年齢化しているとも言われています。そのような問題意識を受けて、今年は、子どもの人権を守る課題に焦点をしぼりました。
第1日目は、午前中に研究発表、午後からは子育て支援の現状の課題を主テーマに立場の違う3人の方によるリレートークを行いました。さらに公開講演として、子ども達を犯罪からどう守るかについて著名な小宮信夫氏(立正大学文学部社会学科教授)に「犯罪機会論」の立場から『子ども達を犯罪から守る~犯罪は「この場所」で起こる~』と題して講演をしていただきました。地域の一般参加の方や、本学の学生達も多数参加し、熱心に聞き入っていました。
第2日目は、日本とアジアの3つの国、カンボジア・インド・フィリピンのNGO代表を招き、国際シンポジウムを午前中に開催しました。子どもの権利を守ることを主題として各国からのパネラーが現場経験に基づき討論を交わしました。午後からは、大沢 勝氏(日本福祉大学総長)による「人間福祉複合系の学園づくり」、松原 了氏(済生会本部常任理事、元厚生労働省関東信越厚生局長)による「済生のあゆみ~福祉と保健医療の融合を目指して~」と題して講演をいただきました。最後には三家 礼子氏(早稲田大学理工学術院客員講師)に「福祉と人間科学」と題して、福祉工学の観点から見た「心地よい椅子」について講演をしていただきました。各講演では、人間福祉の探求を目指して、諸科学の連携・融合を視野に講演をお願いしました。
ご参加いただいた講師の各先生方はじめ一般参加の方々にお礼を申し上げるとともに、今後も人間福祉の探求を学会の場で深めていきたいと思います。皆様のご協力とご理解をお願いいたします。