第8回 人間福祉学会2007 開催報告
11月17日・18日、岐阜グランドホテルを会場にして、「人間福祉学会2007in岐阜」が開催されました。
人間福祉学会では、学会発足以来、社会福祉(Social Welfare)を中核にしながら、その枠を超えて、人間の福祉(Human Well-Being)を多角化・総合的・学際的アプローチの視点を持って追及してきました。
現代日本社会は、世界に類を見ない速さで超高齢社会を迎えようとしています。日本福祉の抱える課題は大きく、従来型福祉の枠組だけでは解決は困難です。そこで、福祉が先導する形であらゆる分野の共同を通して福祉イノベーションを推進するための具体的展開策が必要との問題意識を受けて、今年の大会が開かれました。
当日の様子
第1日目は、日本から野呂影勇氏(早稲田大学名誉教授・エルゴシーディング代表取締役CEO)、小川鑛一氏(前電機大学教授)、またアメリカからはラニー・ルーダー氏(Humanics ErgoSystems社長)、シンディー・バート氏(UCLA労働安全衛生担当マネージャー)などのエルゴノミクスの第一人者を招きコーディネーターを山田俊治氏(エルゴシーディング顧問)が担当され、国際シンポジウムを午前中に開催しました。エルゴノミクスによる子ども福祉の展開を焦点として、具体的な方法・事例・製品例を挙げながらパネラーが現場経験に基づき討論を交わしました。午後からは、吉川弘之氏(産業技術総合研究所理事長)による、「人間福祉と先端技術-ロボットが街を歩く日から20年、ホームロボットと暮らす日-」、山海嘉之氏(筑波大学大学院教授)による「夢開く人と技術の共生-スーツ型ロボットHALの開発を通して-」、トーマス・ラガワル氏(国際リハビリテーション協会事務局長)による「技術・機器開発における国連権利条約と被験者としての障害者」と題して講演をいただきました。
国際シンポジウム
基調講演
特別講演
第2日目は、午前中に研究発表、午後からは公開講演として、小林宏氏(東京理科大学准教授)による「人生を豊かにする人と技術の共生-人工筋肉の開発を通して-」、石古暢良氏(株式会社ジャイロウォーク代表取締役)による「人と技術の共生の楽しさ-ロボットミュージアムの運営を通して-」、馬場駿吉氏(名古屋ボストン美術館館長)による「人間福祉と心の豊かさ-福祉施設・美術館の連携-」と題して講演をいただきました。各講演では、人間福祉の探求を目指して、諸科学の連携・融合とりわけ工学を中心とした視点から講演をお願いしました。
ご参加いただいた講師の各先生方をはじめ一般参加の方々にお礼を申し上げるとともに、今後も人間福祉の探求を学会の場で深めていきたいと思います。皆様のご協力とご理解をお願いいたします。